就労継続支援A型・B型の違いとは?対象者や支援内容をわかりやすく解説

障害や病気のため、一般企業で働くことが難しい人に働く機会を提供する制度として、「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」があります。

両者の違いについては、一般的に次のように説明されます。

  • A型は雇用契約を結び、最低賃金以上の賃金を受け取る
  • B型は雇用契約を結ばず、作業の対価として工賃を受け取る

これは間違いではありません。しかし、実際の現場は、この説明だけでは捉えきれないほど変化しています。

以前のB型には、生活保護を受給しながら通所する人が多く、工賃も生活保護制度との兼ね合いを意識した水準に設定されている事業所がありました。一方、最近では日額や時間額を高く設定し、従来より多くの工賃を得られるB型も増えています。

A型についても、最低賃金が支払われる安定した働き方という一面だけでは説明できません。近年は生産活動の採算性が厳しく評価され、事業を継続できずに廃止したり、B型へ事業形態を変更したりする事業所も見られます。

この記事では、障害福祉の現場に携わってきた経験をもとに、A型とB型の違いだけでなく、生活保護との関係、近年の工賃向上、事業所に求められる採算性、A型の定年まで詳しく解説します。

就労継続支援A型とB型の違いを比較

A型とB型の主な違いは、次のとおりです。

比較項目 就労継続支援A型 就労継続支援B型
雇用契約 あり なし
受け取るお金 賃金 工賃
最低賃金 原則として適用される 適用されない
労働者としての位置づけ 労働者 原則として労働者ではない
勤務時間 雇用契約に基づいて決められる 体調や能力に応じて調整しやすい
主な対象者 支援を受ければ雇用契約に基づいて継続的に働ける人 雇用契約に基づいて働くことが難しい人
報酬の計算方法 時給・日給・月給など 月額・日額・時間額・出来高など
定年 就業規則などにより設けられる場合がある 雇用上の定年はない
利用期間 原則として制限なし 原則として制限なし

A型とB型は、利用者の能力を上下に分ける制度ではありません。

雇用契約を結び、決められた労働条件のもとで働くことが適しているのか。それとも雇用契約を結ばず、体調や障害特性に合わせて生産活動に参加するほうが適しているのかという違いです。

就労継続支援A型は雇用契約に基づいて働く

A型では、利用者と事業所が雇用契約を結びます。

利用者は障害福祉サービスによる支援を受ける人であると同時に、事業所に雇用される労働者でもあります。

そのため、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令が適用されます。

A型で受け取るのは「工賃」ではなく「賃金」

A型で支払われるお金は、工賃ではなく労働の対価である賃金です。

原則として、都道府県ごとに定められた地域別最低賃金以上の賃金が支払われます。

ただし、障害によって業務の遂行に著しい支障があり、都道府県労働局長から最低賃金の減額特例許可を受けた場合には、例外的に最低賃金を下回ることがあります。単に障害があるという理由だけで、最低賃金を減額することはできません。

勤務時間などの条件を満たせば、雇用保険や社会保険の加入対象になる場合もあります。

A型では一定の出勤と仕事の遂行が求められる

A型は一般企業より短時間の勤務が多く、障害特性に応じた配慮も受けられます。

しかし、雇用契約を結んでいる以上、決められた勤務日や時間に出勤し、指示された仕事に取り組むことが求められます。

体調不良による欠勤が続けば、勤務時間や仕事内容について面談が行われることもあります。状況によっては、雇用契約の継続が難しくなる可能性もあります。

そのためA型は、支援を受けながらであれば、ある程度安定して出勤し、雇用契約に基づいて働ける人に向いています。

A型には定年が設けられている場合がある

A型は障害福祉サービスですが、利用者は事業所と雇用契約を結んだ労働者です。

したがって、事業所の就業規則や雇用契約に定年が定められている場合は、A型の利用者にも定年制が適用されます。

「利用期間に制限のない障害福祉サービスだから、同じ事業所で何歳になっても働き続けられる」とは限りません。

事業主が定年を設ける場合、定年年齢は60歳以上でなければなりません。また、定年を65歳未満に設定している事業主には、次のいずれかによって65歳までの雇用を確保することが義務づけられています。

  • 定年を65歳まで引き上げる
  • 定年制を廃止する
  • 希望者全員を対象とする65歳までの継続雇用制度を設ける

70歳までの就業機会の確保については、事業主の努力義務とされています。

A型事業所を選ぶ際は、賃金や勤務時間だけでなく、定年年齢、再雇用制度、雇用契約の更新条件も確認する必要があります。

65歳以降もA型を利用できる場合がある

A型は、原則として65歳未満の人を対象としています。

ただし、65歳以上であっても、次の要件を満たす人は引き続きA型の対象となる場合があります。

  • 65歳に達する前の5年間、引き続き障害福祉サービスの支給決定を受けていた
  • 65歳の誕生日の前日に、就労継続支援A型の支給決定を受けていた

入院などのやむを得ない理由により、障害福祉サービスの支給決定を受けていなかった期間については、一定の例外があります。

ただし、ここでは二つの制度を分けて考えなければなりません。

一つは、障害福祉サービスとして65歳以降もA型を利用できるかという問題です。

もう一つは、現在のA型事業所との雇用契約を続けられるかという問題です。

障害福祉サービス上の継続利用要件を満たしていても、事業所の定年によって同じ職場で働き続けられない場合があります。反対に、継続雇用制度があっても、市区町村による障害福祉サービスの支給決定が必要です。

65歳が近い人は、定年、再雇用、支給決定の更新、定年後のB型への移行などについて、早い段階から事業所や相談支援専門員、市区町村に確認しておくことが大切です。

就労継続支援B型は雇用契約を結ばずに利用する

B型では、利用者と事業所の間に雇用契約はありません。

一般企業への就職や、A型のような雇用契約に基づく就労が難しい人が、体調や障害特性に合わせて生産活動に参加します。

体調に波がある人、長時間の作業が難しい人、長期間仕事から離れていた人など、利用者の状況はさまざまです。

B型で受け取るのは「工賃」

B型の利用者が受け取るお金は、賃金ではなく工賃です。

工賃は、事業所が行う生産活動の収入から、材料費などの必要経費を差し引いたうえで利用者に支払われます。

雇用契約に基づく賃金ではないため、最低賃金法は適用されません。

B型の工賃にはさまざまな計算方法がある

B型の工賃は、事業所によって計算方法が異なります。

例えば、次のような方法があります。

  • 月ごとに一定額を支払う月額方式
  • 通所した日数に応じて計算する日額方式
  • 作業時間に応じて計算する時間額方式
  • 完成した作業量に応じて計算する出来高方式

事業所の案内では「時給○円」と表現される場合もあります。

しかし、B型は雇用契約を結ばないため、正確には最低賃金が適用される「時給」ではなく、作業時間に応じて算定される「時間額の工賃」です。

最近は高い工賃を支払うB型も増えている

以前のB型には、月額数千円程度の低い工賃で、就労よりも日中の居場所や生活リズムの維持を重視する事業所も少なくありませんでした。

しかし、最近は従来のB型とは異なる事業所も増えています。

飲食店、農業、清掃、食品製造、インターネット販売、パソコン作業、動画編集など、収益性のある事業に取り組み、日額や時間額を高く設定する事業所も見られるようになりました。

厚生労働省による令和6年度の全国平均は、A型の平均賃金月額が9万1,451円、B型の平均工賃月額が2万4,141円でした。

ただし、実際の金額は事業所、利用日数、作業時間によって大きく異なるため、全国平均だけで個々の収入を判断することはできません。

したがって、現在のA型とB型を、単純に「A型は稼げる」「B型は稼げない」と分けることはできません。

高工賃のB型を週5日利用する人が、勤務日数の少ないA型利用者に近い収入を得る場合もあります。

それでも両者には、雇用契約、最低賃金、労働法の適用という明確な違いがあります。

B型と生活保護の関係

私が関わってきたB型の現場では、生活保護を受給しながら通所している利用者が少なくありませんでした。

障害年金だけでは生活が難しい人や、家族から援助を受けられない人にとって、生活保護を受給しながらB型へ通所することは、現実的な生活の形の一つです。

また、従来の事業所の中には、生活保護の収入認定や勤労控除との兼ね合いを意識した工賃水準になっているところもありました。

ただし、生活保護を受給していることは、B型を利用するための条件ではありません。生活保護を受給していない人も利用できます。

生活保護受給者がB型の工賃を受け取った場合は、福祉事務所への収入申告が必要です。

生活保護費は、最低生活費から認定された収入を差し引いて算定されますが、就労による収入には基礎控除や必要経費などの控除があります。そのため、工賃の全額が、そのまま保護費から差し引かれるとは限りません。

近年は、生活保護への影響を考えて工賃を低く抑えるのではなく、生産活動の収益を高め、利用者へできるだけ多く還元しようとするB型も増えています。

工賃が増えた場合の生活保護費への影響は、世帯状況や必要経費などによって異なります。本人だけで判断せず、収入が変わった時点で担当ケースワーカーへ申告・相談することが必要です。

A型・B型ともに採算性が求められている

就労継続支援は福祉サービスですが、同時に利用者へ仕事を提供する事業でもあります。

現在はA型・B型ともに、利用者を通所させるだけではなく、生産活動によって収益を上げることが強く求められています。

A型では賃金を生産活動の収益から確保する必要がある

A型事業所は、利用者へ最低賃金以上の賃金を支払いながら、障害福祉サービスとして必要な職員も配置しなければなりません。

利用者の賃金、職員の人件費、家賃、設備費、材料費などが必要になるため、安定した仕事と売上を確保できなければ事業は成り立ちません。

令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定では、A型の基本報酬を決めるスコア方式が見直されました。

特に生産活動収支については、事業収入から生産活動に必要な経費を差し引いた金額が、利用者に支払う賃金総額以上になっているかが、以前より厳しく評価されるようになりました。

3年間にわたって生産活動収支が賃金総額以上の事業所は60点となる一方、3年間とも賃金総額を下回る事業所はマイナス20点となります。

この改定に最低賃金の上昇や物価高騰も重なり、十分な売上を確保できないA型事業所は、運営を続けることが難しくなっています。

B型にも工賃向上が求められている

B型についても、低い工賃のまま通所の場を提供するだけではなく、生産活動の収益を増やして工賃を向上させることが求められています。

令和6年度の報酬改定では、平均工賃月額に応じた報酬体系について、工賃水準による基本報酬の差がさらに大きくなりました。

このためA型とB型は、雇用契約の有無には大きな違いがあるものの、どちらも事業として仕事を確保し、売上を生み出す必要性が高まっています。

A型事業所の廃止やB型への転換も起きている

私が現場で見聞きしてきた中にも、A型として事業を続けられず、廃止した事業所や、雇用契約を必要としないB型へ事業形態を変更した事業所がありました。

令和6年度にハローワークが解雇届によって把握した障害者の解雇者数は9,312人で、そのうち7,292人がA型事業所の利用者でした。

この集計は、各月内に10人以上の解雇が発生したA型事業所に限られますが、該当事業所の約9割は生産活動収支が赤字でした。

解雇されたA型利用者のうち、2,171人は再就職が決まり、3,834人はB型事業所などへ移行、または移行する予定とされています。

ただし、すべての廃止や解雇が、報酬改定だけによって起きたと断定することはできません。

もともとの経営状態、受注先との契約終了、最低賃金の上昇、物価高騰、人手不足など、複数の事情が重なった結果と考える必要があります。

また、A型からB型への変更は、事業者にとって経営上の選択肢となる一方、利用者にとっては雇用契約と最低賃金を失うことを意味します。

単なる「サービス名称の変更」ではなく、利用者の生活に直接影響する重大な変更です。

A型とB型は収入額だけで選ばない

A型とB型を選ぶ際は、賃金や工賃の金額だけで判断するべきではありません。

A型で高い賃金を受け取れても、毎日の出勤や仕事の負担によって体調を崩し、継続できなければ本人に合った働き方とはいえません。

一方、B型の工賃が低くても、生活リズムを整え、人との関係を築き、将来のA型や一般就労につながるのであれば、本人にとって大きな意味があります。

A型が向いている人

  • 決められた曜日や時間に継続して通所できる
  • 雇用契約を結んで働きたい
  • 最低賃金以上の賃金を得たい
  • 職場の規則や指示に沿って仕事ができる
  • 将来的に一般企業への就職を目指している

B型が向いている人

  • 体調に波があり、毎日の出勤が難しい
  • 長時間働くことが難しい
  • 少ない日数や短時間から始めたい
  • 職員による見守りや細かな支援が必要
  • まずは生活リズムを整えたい
  • 雇用契約を結んで働くことに不安がある

A型だから上、B型だから下という関係ではありません。

現在の本人の状態と、無理なく続けられる働き方を基準に選ぶことが大切です。

事業所を選ぶときの確認ポイント

同じA型、同じB型でも、仕事内容や支援内容、事業所の雰囲気は大きく異なります。

見学や体験利用では、次の点を確認しましょう。

仕事内容と仕事量

普段どのような仕事をしているのか、十分な仕事量が確保されているのかを確認します。

パンフレットには多くの仕事が掲載されていても、実際には仕事が少なく、長時間待機している場合もあります。

賃金・工賃の計算方法

A型では、時給、勤務時間、昇給、賞与、欠勤時の扱いを確認します。

B型では、工賃が月額、日額、時間額、出来高のどの方法で計算されるのかを確認してください。

「月に○万円可能」と表示されていても、それが平均額なのか、最高額なのか、週5日通所した場合の金額なのかによって意味が異なります。

定年と雇用契約の更新

A型を利用する場合は、定年年齢、再雇用制度、雇用契約の期間、更新条件も重要です。

特に60歳前後の人は、利用開始後に何年間働けるのかを事前に確認しておく必要があります。

体調不良時の支援

欠勤した際に一方的に注意するだけなのか、体調や生活上の問題を一緒に整理してくれるのかによって、通所の続けやすさは変わります。

事業所の経営と仕事の安定性

継続して仕事を確保できているか、特定の取引先だけに依存していないかも確認したいポイントです。

一社の受注に大きく依存している事業所では、その契約が終了した場合に、賃金や工賃、事業の継続に影響が出る可能性があります。

本人の将来像に合っているか

B型からA型へ進みたいのか、A型から一般就労を目指すのか、現在の事業所で長く安定して働きたいのかによって、適した事業所は変わります。

本人の希望を聞かず、全員に一般就労を求める事業所が合うとは限りません。

まとめ

就労継続支援A型とB型の最も大きな違いは、雇用契約の有無です。

A型では事業所と雇用契約を結び、原則として最低賃金以上の賃金を受け取ります。労働者として就業規則が適用されるため、事業所によっては定年もあります。

B型では雇用契約を結ばず、生産活動の対価として工賃を受け取ります。最低賃金は適用されませんが、最近では日額や時間額を高く設定し、従来より多くの工賃を支払う事業所も増えています。

また、現在はA型・B型ともに、生産活動の採算性が強く求められています。

特にA型では、生産活動の収益から利用者の賃金を確保できない事業所への評価が厳しくなり、廃止や解雇、B型への事業転換が起きています。

A型とB型を選ぶ際は、収入額だけでなく、体調、通所できる日数、必要な支援、雇用契約の負担、定年、事業所の経営状態、将来の希望まで含めて考えることが大切です。

どちらが上かではなく、本人が無理なく働き続け、自分の望む生活に近づけるかという視点で選ぶ必要があります。

参考資料

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